第13章 鈍く冷たく赤い
『…ぼっち…』
「眠くて反応がおぼつかなかった逢坂さんが反応した…!」
「大丈夫、もし雪がぼっちでも、今度は自分のクラスそっちのけで私が雪に会いに行くからね!」
「大丈夫だよ雪ちゃん!オレも今まで通り昼夜問わず側にいて、雪ちゃんをぼっちになんてさせないからね!」
「いや、まだ逢坂さんがぼっち確定ってわけでも…ほら二人とも、あんまり不安にさせること言わないであげてよ」
クラス替え、という単語は、友達作りのスキルレベルが1未満の逢坂にとって、十分ストレスの一因になり得る。
深く深くため息をついた逢坂の横で、「…昼夜問わず側にいるって、まさか……夜も泊まってるってことっすか?」と王馬の発言を掘り返す天海。
「大丈夫です、博士。ボクがずっと、側にいますから」
その発言をしたのは、みんなと同じ学校指定の学生鞄を持ち、グループに混ざって歩いていたキーボだ。
街の景色を興味深そうに眺めながらゆっくりと歩いていた彼は、逢坂の不安げな声の波長を聴き取り、彼女を安心させようと、そんな言葉を発した。
「そっか、キーボくんは雪と同じ教室ってもう決まってるんだっけ」
「はい。ボクの学校生活での学習を、博士がサポートしてくださいます」
「勉強なんて出来るようにならなくていいからさー、ロケットパンチ打てるようになってよ」
「嫌ですよ、ロケットパンチこそ無駄でしかありません」
「えー、ロケットパンチ打てないロボットなんてなんの意味もないよ!」
「あります!ロボットの価値はロケットパンチがオプションで追加されているかどうかで決まるものではありませんから!」
「ロケットパンチってオプションなんだね…」