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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第11章 過ぎた日をただ思う




彼女に惹かれる一方で、そのどうしようもない虚しさを、どんなに願っても叶わない願望を、近づいてくる「同じ世界」の女で紛らわそうとした。


「ねぇ、王馬くん、私のこと好き?」
「好きだよ。ーーちゃんもでしょ?」








嘘だよ










「大好きな小吉なら、私のこと好きにしていいよ?」
「嬉しいなぁ、オレもーーちゃんのこと、大好きだから!」









全部嘘









「嬉しい、私への気持ちだけは本当だよね!」











「……バカじゃないの?嘘に決まってるじゃん」












こんな簡単な嘘も見抜けないなんて














どんなに夢中になろうとしてみても、夢中になれる女なんて誰一人としていなかった。
だってもうオレは、出会ってしまっているんだから。









ーーーキミは誰なの










オレすら騙されて気づくことができなかった嘘を、いとも簡単に見抜いた彼女。
嘘をつくことをやめられない自分には、彼女のような存在が必要だった。
大人の醜い憎悪や駆け引きが蠢くこの裏社会で、オレがどれだけ嘘に塗れて自分を見失ったとしても、きっと、彼女だけはオレに気付いてくれる。
そんな期待が、胸を支配してやまなかった。


もっと早く、この気持ちに気付いていれば。
あんな報復なんて捨て置いて、逢坂ちゃんの前に現れたのに。

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