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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第11章 過ぎた日をただ思う




「ねぇ逢坂ちゃん、してもいい?」
『な…なんで聞くの』
「嫌なのにし続けたらまた嫌われちゃうじゃん。だから逢坂ちゃんはしたいのかなーってね」
『………っ』
「ねぇ、オレにキスされたくない?」
『…そ、そんなことは…』
「なら、キスされたいの?」
『されたいってわけでも…』
「………」


どっち、とわざとらしく耳元で囁かれ、耳まで顔が熱を帯びていく。
恥ずかしくて顔を見ていられず、視線を逸らした。


「逢坂ちゃんってさ、ほんと初々しい反応するよね。見てるこっちが恥ずかしいくらいにさ」
『…ごめん…』
「可愛いから全然いいよ!むしろもっと恥ずかしがってくれた方が、興奮するよね!」
『興奮……えっ……』


嘘なのか本当なのかわからないことを言いながら、王馬が二、三回キスを繰り返してくる。
唇、頬、そして、首筋にキスをされた時。
くすぐったさとは違う感覚を身体に刻まれた。


『…っいた……!』


皮膚を引っ張る、鈍い痛みが首もとに残る。
口を離した王馬が、また逢坂の唇にキスを落とした。
見つめながら唇を舐められ、王馬が何を期待しているのか伝わってくる。


「…舌、出して」


どうして王馬に至近距離で見つめられ、命令されると、簡単に服従させられてしまいそうになるんだろう。
それでも気恥ずかしさから迷っていると、王馬は逢坂の腰に回した腕を少しだけきつくして、身体をさらに密着させた。


「どうしたの?もっと逢坂ちゃんに触れさせてよ。ひと月も我慢して、もう禁断症状出そうなくらいだったんだから」
『…っ…あのさ…』
「なに?」
『……なんでも、ない』
「なんでもないことないんでしょ。なに?」
『………』


赤面して、なんだか困った顔をしているようにも見える逢坂。
その表情を見て、王馬はぼんやりと考えた。


(ーーー可愛い。もっと恥ずかしがらせたい、もっと、オレのことで頭の中一杯にしてやりたい)


「……なに?あんまり焦らさないでよ」
『…っ……なんで?』
「なにが?」
『…なんで私なの?』
「……」


なんで?
そんな単純なことを、今さらどうして聞くんだろう。
王馬は我慢が出来なくなり、雑に答えて、また逢坂にキスをした。


「逢坂ちゃんだからだよ」

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