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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第11章 過ぎた日をただ思う




言葉を濁して真偽を確かめることなどできない。
結局、彼が生きている証拠がないのなら、自分が出来ることといえば、王馬の言葉を信じることしかない。
彼の言葉の端々に散りばめられたヒントを信じて、盲目的に誘導に乗ることを良しとするしかない。


『……信じるよ、王馬のこと』


理由なんて、一つしかない。
信じたいから信じる。
それを彼に伝えたら、案外逢坂ちゃんもバカだよね!と言われてしまいそうな気もする。


「ありがと、逢坂ちゃん!」


珍しく、素直に嬉しそうな表情をしてみせる王馬。その笑顔を見るのが久しぶりで、なんだか少し、胸が温かくなった。






























その夜。
帰りがすっかり遅くなり、電力残量ギリギリまで起きて待っていてくれたキーボは、逢坂の姿を確認すると、安心したように自室で充電のための眠りについた。
一緒に寝たい、と言って譲らない王馬に負け、二人で逢坂の部屋で眠ることになった。

ベッドに入るやいなや、彼は逢坂の腰に腕を回し、抱きついてきた。
寝相の悪い王馬のことだから、きっとすぐに寝入って突き飛ばしてくるだろう。
そんな甘い考えが災いし、彼が眠りにつけるように、頭を撫でた。
そしてその行動が、王馬に「受け入れられた」と誤認させた。


「………。」
『……?』


暗闇の中で、見つめられている気がする。目を開けて彼を見ると、その直後、王馬にキスをされた。


『……っ』


耳元で、もう一回したいな、と囁かれる。
どきりと心臓が跳ね、鼓動が速まっていく。


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