• テキストサイズ

【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第11章 過ぎた日をただ思う




学園の廊下で、逢坂ちゃんを見かけた。逢坂ちゃんはいつも通り、天海ちゃんと過ごしているみたいだ。その二人を遠巻きに見る予備学科の女生徒たちが、小さく黄色い声をあげているのが耳に入ってくる。


「きゃー天海くんだ、やっぱりかっこいいよね」
「でもさ、逢坂さんなら仕方ないかって感じだよね。将来有望だし超高校級のモデルでもないのに美人だし!」
「あの二人いつも一緒、いいなー私もあんな彼氏欲しー」


イラっとして、反論してやりたくなる。
天海ちゃんはずっと逢坂ちゃんと一緒にいるわけじゃないし外面がいいだけで中身は結構嫉妬深くて女々しいしなんなら最原ちゃんより抜け目なくて自分の容姿に自信もある程度ある分あんな奴が逢坂ちゃんの彼氏なんて危なっかしすぎてオレは絶対認めないよ、なんて頭の中で羅列された言葉は口から出ていくことはなく、歯を食いしばって黙ることにした。


「あっ、日向くん!ねぇねぇ、さっき応接室から逢坂さんと出てきたよね!何を話してたの?いいなぁいいなぁ!」
「えっ、いや…学園長に呼ばれて。けど、大したことじゃないんだ」
「えーきになるー!」


通りすがった男子生徒に、騒いでいた予備学科生の一人が声をかけた。その見慣れない顔をしっかりと眼に焼き付け、名前を頭の中で復唱する。


(………日向?聞いたことないな、あとで調べよう)


予備学科に知られているということは、彼もきっと予備学科生なのだろう。ネクタイの色から、学年は2年だと推測できる。


(…予備学科生が学園長に呼ばれる?)


そんなことがあるだろうか。
考えながら歩みを進めていたけれど、無意識のうちに逢坂ちゃんを尾行していたことにふと気づいて、足を止めた。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp