第11章 過ぎた日をただ思う
間宮ちゃんが死んで二日目。
オレはなんとなく興味本位で、間宮ちゃんがいた学校の様子を部下に探らせた。
人が一人いなくなることの騒々しさを知らないわけじゃなかったけど、なんだか嫌な予感がした。
そしてそれは、部下の報告によって現実となった。
オレが嘘をついたせいで、あの女の子はもっと嘘つきと言われるようになり、クラスからなおさら煙たがられるようになってしまったらしい。
(…一応、あの子のアシストは役に立ったし。後味悪いから少しマシな生活に戻してあげようかな)
学校に裏金を握らせて、すぐにあの子が生活しやすい学校環境に整えた。
もう気にする必要なんかないはずなのに、それでもオレはわざわざリスクを犯して学校を監視した。
教室の窓から見えた彼女の横顔は、想像していたものより悲惨な表情をしていて。
彼女はやっぱり、友達なんかいないと言っていた間宮ちゃんの、確かな友達だったんだと知った。
きっと、彼女に興味を持ったのは同情心と、彼女に助けられたという大きな「借り」の意識。
周りの景色をただ反射して、心に映しているわけではない綺麗な眼と、そんな反射鏡に宿っているのが信じられないほどの人を見透かす洞察力のせい。
(……話してみたいな)
間宮光ではなく、王馬小吉として。
彼女と言葉を交わしてみたい。
きっと彼女は、オレにつまらなくない言葉を返すだろう。
同じ嘘つきだとしたら、それはそれで楽しいに違いない。