第11章 過ぎた日をただ思う
「ゴ、ゴン太は…まだそういう、好きな人が出来るとかはむずかしいよ」
「…へぇ?」
「王馬くんは、どうして逢坂さんを好きになったの?」
「え、好きじゃないよ」
「え?そうなの?」
「嘘だよ。好きじゃないわけないじゃん」
「あ、やっぱり嘘なの?…だって王馬くん、最近逢坂さんに会えなくて寂しそうだしね」
「毎日つまらなくて死にそうだよ。逢坂ちゃんに会いたい逢坂ちゃんと話したい逢坂ちゃんを抱きしめたい逢坂ちゃんといけないことしたい」
「い、いけないこと?」
赤面するゴン太を無視して、オレはまた大きなため息をついた。
今日は3月11日。
ホワイトデーのお返しだってしたいのに、彼女から一切の連絡も、接触も受けていないからには、とても自分からは近寄りがたい。
付き合って数日で、音信不通の険悪な仲に落ち込むなんて想像していなかった。
自分から会いに行ってもいいけど、あんな視線をオレに浴びせた彼女には、とことん反省してもらいたかった。
(……逢坂ちゃんのバカ)
崩れに崩れたオムライスをかきこみ、昼休みを終えた。