第10章 オレとボクのライアーゲーム
王馬は表情を変えないまま、逢坂を正面から見つめた。
「…なんでオレがそんなこと知ってると思うの?オレが間宮ちゃんの死に関わってるって、本当に思ってるの?」
『……私の首、締めようとしてたの知ってるから』
「あーなんだ、あれもバレてたんだ。でもまだオレの話が途中なんだよねー。それとも逢坂ちゃんは、オレが逢坂ちゃんの前に現れた理由より、ずっと記憶から遠ざけてた間宮ちゃんのことが気になるの?なんで?もう死んだ人の事なんて忘れちゃいなよ、会うことなんて二度とないんだし」
あーぁ、黙っとけばよかったな、と王馬はしゅんとしてみせた。
逢坂は荒くなる呼吸を飲み込んで、王馬を見据えている。
その彼女らしくない様子を見て、王馬が呟いた。
「ほら、やっぱりもうオレのことなんか見えてない」
『…っ…本当に…王馬も知らないの…?』
「あのさぁ、逢坂ちゃんが聞きたいことってどうして間宮ちゃんが死んだか、なの?違うよね?」
「私のせいで光くんは死んだんじゃないか…って、本当は聞きたいんだよね?自分の罪悪感の納めどころがつかなくて、オレに攻撃的になってるんでしょ?でもさ、こんな隠し事をしてたオレの言葉を、逢坂ちゃんは信じるの?オレだって疑われたら傷つくし、嘘つきって言われるのは慣れてるけど、誤解されたくない相手くらいいるよ。本当のことを話して、それを否定も肯定も出来ないまま飲み込むことが今の逢坂ちゃんにはできるの?」