第10章 オレとボクのライアーゲーム
『……その話を、どうして今しようと思ったの?』
王馬はまるで他人事といったように、淡々と時系列に沿って逢坂との出会いを話した。
王馬が「光」として逢坂と喧嘩した数日後、彼が亡くなったという報道が流れ、さらに逢坂はクラスでの立場を失った。
しかしそれから数日も経たないうちに、今までクラスの不仲に無関心だった担任が別の教師と変わり、逢坂はいじめから守られるようになった。
王馬が言うことを信じるとするなら、学校に働きかけ、逢坂がつらい立場に置かれないように裏で手を引いていたのも王馬だったらしい。
「逢坂ちゃんがオレから何も聞かないうちに思い出すよりマシかなーって。全く忘れたままならその方がよかったんだけどなー。でも違和感を感じてるなら仕方ないよ。オレが間宮ちゃんを殺したなんてつまらないこと、思って欲しくないしね」
『……待ってよ、なら光くんは王馬とのゲームに負けて、あの家に帰ったの?そんな虐待が行われてた家に?』
「そうだねぇ、まさか帰って数日後に火事になって死んじゃうなんて、思ってもみなかったよ!でも母親の方は社会的に死んで、あんな屋敷に住んでたのに、今じゃホームレス生活なんだから笑えるよねー」
『笑えないよ』
逢坂は王馬の手を離し、立ち止まった。