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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第10章 オレとボクのライアーゲーム




「ヒカル、私嘘つきは嫌いよ。あなたはそんなことを考える子じゃないでしょう?」


絶望的に、間宮ちゃんの母親は狂っていた。


「嘘をつくあなたは私の息子じゃないわ。お母さんの理想の息子になること、良い?」


毒親というカテゴリすら超越し、しつけの域を越えている暴力は日常茶飯事。
気に入った受け答えをしないと「嘘つきは嫌いよ、本当はそんなこと思っていないでしょ?ちゃんとお母さんの理想の答えを返して」と詰問を続けた。
身体的にも、精神的にも朝から晩まで浴びせられる苦痛。
その痛みから逃れる為に理想の息子を演じ続けることは、オレが自分を見失っていくことに拍車をかけた。
言われたとおりにしていればバレないよ、と空虚な目をした間宮ちゃんが言っていた意味を、ようやく理解した。
この家の母親は、「理想の息子」として彼をずっと管理し、思いのままに動かしてきたのだろう。
「間宮光」の真似をしたって意味がない。
この家の、理想の息子になりきることが出来なければ、ゲームに負けてしまうのはオレだ。


はじめはそんな理由で母親の望む息子としての演技を続けた。
フラストレーションは溜まり、1週間、2週間、日を経るごとに今すぐにでもこの家から出ていきたいという気持ちが湧きあがった。けれど、こんな絶望的な居場所を取り変えろと言ってきたあの大嘘つきに痛い目を見せてやりたかった。





だから家から出て行くことはせずに、母親の言うことに従順な演技をした。






演技をしていたつもりだった。












「光、あとで夕食を手伝ってね」



ヒカル、光はだれ



「……はい、わかりました」



あぁ、そうかボクのことだ



「まぁまぁ、本当にあなたは良い子ね」





良い子なのはボク










嘘つきは








誰だっけ










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