第10章 オレとボクのライアーゲーム
間宮光と名乗ったあいつの家は、外側から見れば普通の家庭と何ら変わりはなかった。オレは間宮ちゃんと服を取り替えて、側で様子を伺っていた部下にこれからの動きを伝えた。
遊びにしては度が過ぎると言う奴もいたけど、オレはその制止を振り切って間宮ちゃんの家に堂々と、潜入することにした。
間宮ちゃんと癖も言動も何もかも完璧に入れ替わるために、わざわざ二、三日を費やして、彼の行動を真似した。
だから、オレがあの家に足を踏み入れたのは、間宮ちゃんが家出をしてきて4日目。帰った途端家族の誰かに激怒されることは予想がついていた。
けれど、玄関の扉を閉めた途端、後ろから駆け寄ってきた誰かに頭を殴られて気を失わされるとは思ってもみなかった
(………いった……あー予想より斜め上をいってたな…)
家出してきたやつの家とはいえ、所詮一般家庭のレベルに過ぎないだろうとたかをくくっていたのが仇になった。オレが目を覚ますと、そこはなにか柔らかいものの上で、あたりは真っ暗闇だった。夜目が効き始めて、ようやく自分がいる場所の形状を把握し、息を飲んだ。
「…まさか、こんなタイミングで入ることになるとはね」
このひんやりとして湿った空気。三面の壁と、一方の一面には何本もの格子が行く手を阻んでいる。手探りで探せば、錠前がかけられた扉部分もあることが確認できた。
(……全然一般家庭じゃないじゃん)
現在地は、おそらく地下室の牢屋の中だ。オレはいつもの癖でピッキングの道具をスカーフから取り出そうとして、自分の服がいつもとは違うことを思い出した。今日は靴の中に隠したことを思い出し、足下を見たが、裸足からダイレクトに伝わってくる地面の冷たさにため息をついた。