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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第9章 キミとの距離




「にしし、オレの顔真似どうだった?仲直りの印に、ほら、百田ちゃんだけは明日も明後日も明々後日もオレの顔芸を不意打ちで見せてあげるからね!」
「や、やめろ…!!そんなもん…見たくねえよ!!」
「遠慮しなくていいのにー。ほら、さん、ハイ!」
「やめっ……!っ…ぎゃあああああぁああ!!」





















結局、何かの呪いにでもかかったかのように百田は急に体調を崩し、しきりに夜になる前に帰りたいと繰り返す彼に合わせるように解散となってしまった。他のメンバーと別れた途端、鼻歌を歌いながら、手を引いて歩いていく王馬。色の違うタイルだけを跳ぶように踏んで歩く彼は、とても同い年には見えない。


「それで、今日の寄り道は逢坂ちゃんの納得のいく結果にはなったの?」
『……ううん』


だろうね、と笑ってすませる王馬。あれだけ先ほどまで帰りたがっていたのに、王馬は逢坂と二人きりになった直後から、立ち止まったり脇道に逸れたり、ふらふらと無駄な歩数を稼いでいる。


『そんなに楽しくなかった?』


と聞くと、全然!とどっちとも取れるような返答をしてくる。その言葉の意味を深く聞こうとした逢坂よりも先に、珍しく王馬が自分の言葉を補足した。


「まぁつまらなくはなかったよ!」
『…ならなんであんなに帰りたそうだったの?』
「つまらなくないからってそこにいたいとは限らないでしょ?だって逢坂ちゃんと二人の方が、もっと良いわけだしさ!」


彼は逢坂の手を引いたまま、車道と歩道の間にある一段高い区切りの細い石の上を、軽快に歩いていく。
逢坂が立ち止まると、それに合わせて王馬も足を止め、逢坂に笑いかけた。


『王馬はなんでそこまで私にこだわるの?どうして私を特別視するの』
「生き別れた妹だからだよ」
『えっ?うそ!?』
「嘘だよ?」
『………』
「そんな反応するってことはさ、逢坂ちゃんは自分の家族のこと、何も知らないの?」
『……なんだぁ』
「がっかりするところ?逢坂ちゃんはオレが彼氏より、家族の方が良かった?」


王馬が家族。とても想像がつかない。



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