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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第9章 キミとの距離




何か考えがあったわけではない。後先を考えたり、みんなの心情を考えた上の行動でもない。ただ、このメンバーでご飯に行ったら少しは王馬と周りの面々が仲良くなれるんじゃないだろうか。
そんな事を考えたつい一時間前の自分を引っ叩いてやりたい。


「あーおい王馬!テメーさっきから食い過ぎだろ!そこはオレのもんじゃの陣地だ!」
「こんな吐瀉物みたいなものに陣地も何もあったもんじゃないでしょ?何よりオレは百田ちゃんのせいで空腹なんだから!多く食べたって妥当だね!」
「こら王馬くん、大声で吐瀉物なんて言ったらダメだよ!」
「赤松さんの声も結構お店に響いたけど…百田くんも声が大きいよ。王馬くん、それにしたって百田くんの手前の部分ばかり食べてるよね?それって百田くんの陣地って意識してるからじゃないの?」
「逢坂さん、早く食べないと彼に全部持ってかれるっすよ?せめて皿には確保しとかないと」


まず、座席の一番奥に陣取った百田と王馬に、喧嘩するほど仲が悪いなら、なぜわざわざお互いの向かいに座ったのかと詰問してやりたい。
座席に引きずり込まれる形で逢坂は王馬の隣に座らされ、その座席のバランスを見て、最原が百田の隣に座った。赤松と天海がアイコンタクトを取った気がした直後、わざわざ自分の立ち位置とは遠い座席を選んで、最原の隣に赤松、逢坂の隣に天海が座った。
三人三人で向かい合う座席となってはいるが、完全に王馬vs百田、最原、赤松が出来上がっているし、天海はさっきからやたら逢坂の世話を焼いてきて、距離感がまるで兄のようだった。


『話題を変えてはいかがか』


パンっ!と手を叩き、掴みあいになりそうな王馬と百田の気を逸らす。困っている逢坂に気づいたのか、最原が助け舟を出そうと口を開いた。


「…そういえば、さっきの王馬くんの言葉、ダジャレみたいだったよね」
「んー?なにが?」
「え。…もんじゃに、陣地もなにもあったもんじゃない…って」
「「「「…………」」」」


助けて。という必死な目をした最原が逢坂を見つめてくる。逢坂はいたたまれなくなり、必死に頭の中で盛り上がりそうな話を思い浮かべた。

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