第9章 キミとの距離
「…ねぇ、入間さん」
「なんだよ?テメー、顔が真っ青だぞ」
「…友達が…自分と…他の男友達との仲に差をつけてるとしたら…どうしてだと思う?差をつけられるのには何か理由があると思う?」
「あ?テメーは本当にバカなんだなぁ、そんなの性的対象か違うかに決まってんだろ!」
「…性的…対象?」
「女なんてみんなそんなもんだろーが!男の前じゃ可愛こぶるし清純派ぶる、でも女子会じゃ男どもが泣いて叫ぶようなどぎつい下ネタかましまくる、それが女だろ!その友達っつーのは、男じゃねぇテメーに興味ねぇってだけの話だよ」
(………そんな理由?)
今となっては浅はかでどうしようもないのは自分だと気づけるが、その時の赤松は冷静ではなかった。中学の頃初めに混ざっていた女子グループは仲良くしていてもそういう感じの子たちが多かったし、逢坂もあり得ない話ではないだろうと感じた。
一度根付いてしまったイメージは、悪い方へ悪い方へと成長していく。まるで赤松には、逢坂が赤松と一緒にいることを望んでいなかったかのように思えてきた。
(……なんだぁ…そんな理由か)
一番の友達になりたい。そんな赤松の願いは、バカバカしいほど幼く、惨めに思えた。