• テキストサイズ

【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第9章 キミとの距離




特別だった。とても大切に思っていた。好きな人が出来たら一番先に相談したし、その彼が見ている相手が逢坂だとしても、そんなことはどうしようもないとわかっていた。それほど魅力的な友達が自分の親友でいてくれていることに、幸福感すら感じていた。



(…………あれ?)




自分の感情に違和感を抱いたのは、高校に入って逢坂とクラスが分かれてすぐのこと。
それは、天海と連れ立って歩く逢坂の姿を見た時だった。


(……私といる時より楽しそう)


ふと、笑顔の逢坂を遠目に見て、そう感じた。一度考えてしまえば頭から離れることはなく、何度も何度もその考えは赤松の思考に割り込んできて、心をざわつかせた。
赤松は、最原と一緒にいる逢坂しか知らない。だからこそ、自分よりも後から逢坂と知り合ったはずの天海が違和感なく逢坂と笑いあっているのが不思議でならなかった。


(…なんで?最原くんと同じ距離感…私とは違う。私にはもっと距離を置く、あんな風に笑ったりしない、いつも冷静で、笑う時は静かで、あんなーーーー)







あんなに楽しそうにしない








頭の中を嫌な考えがよぎって、赤松は逢坂から目をそらした。胃がねじれるような痛みを腹部に感じ、どうしてもやるせない気持ちが込み上げてくる。単なる勘違いかもしれないのに、高校に上がって慣れない環境に気を張り詰めていたせいか、それが真実であるかのような被害妄想が湧き上がって仕方がなかった。


「どーしたバカ松!生理かよ?」


そんな不安定な時に、すぐ側を入間が通りすがった。誰でも良かった。否定して欲しい気持ちの方が大半だった。それでも入学してまだひと月、誰がどんな助言をしてくれるかなんて判断できるほど、周りの生徒と関わりなど持っていなかった赤松は、聞いてしまった。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp