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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第9章 キミとの距離




「…ご、ごめん。彼氏じゃないんだ。だから詳しいことを聞いたりできる仲じゃなくて…」
「彼氏じゃなくてもこの際どうでもいいよ!一番仲良いのは最原くんなんだから、もっと逢坂さんに話を聞いてみてよ!」
「えっ、うん…わかったよ」


(…最原くんに遠慮してた私がバカみたい)


この様子なら、きっと最原は逢坂に今すぐ近づこうという気はないのだろう。その気がないのであれば、初めからそう言ってほしいものだという理不尽な怒りが湧いてくる。恐らく逢坂を気にしているであろう最原の恋路の邪魔をするわけにはいかなかったので、赤松はなかなか行動に移して逢坂と一緒にいることができずにいたのだ。


最原からイギリスで学会準備だって、というそっけない返事を聞いて、ひとまず安否を確認し、安心した。
逢坂と最原が電話してから2週間後、逢坂が帰ってきた。赤松はその不在の時間を使って、逢坂と一緒にいる最原とも友達になった。仲良くなればなるほど、最原はひどく奥手だということを知り、二人の間に入ったとしても、現状維持を良しとしてくれるだろうと踏んだ。


「雪ー!じゃーん、クリスマスプレゼント!」
『……あ、ありがと』
「開けてみて!」


逢坂と仲良くなりたくて、いろんなものをプレゼントした。彼女の誕生日に、ハロウィン、バレンタインや旅先のお土産、そしてクリスマス。
そして逢坂からもプレゼントのお返しをもらった。けれどそれは決まって、『何が欲しい?』と逢坂に聞かれ続けて赤松がしぶしぶ答えたものだった。


『…綺麗な鏡だ。ありがと、大切にする』
「ううん、私たちももう来年から高校生だもん!それで今よりもっと綺麗になって、良い彼氏さん捕まえないとね!」
『楓、お返しは何欲しい?』
「だめだよ、今年は答えてあげない!」
『えー…困るよ』
「何貰ったって嬉しいんだから」


赤松がそう言うと、彼女は本当に困った顔で笑った。その理由を聞いてみたかったけれど、彼女がまた遠くを見てしまうような気がして、やめた。


『愛しの最原くんにはあげないの?クリスマスプレゼント』


そうからかって言ってくる逢坂に、赤松は笑って返した。



「あげないよ!雪は私の一番の友達だから特別」


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