第9章 キミとの距離
「オレは、宇宙に轟く百田解斗だぜ!覚えとけ、テメーにはきっと、宇宙船に同乗させるロボットの事でこれから世話になるだろうからな!」
『…どうも、百田くん。ところで、昼休み中に王馬に買出しを頼んだんだけど、なぜか帰ってこなくて食い損ねたんだよね。君は、なんでか知ってる?』
「あぁ?…ほんとにテメーを待ってる奴なんかいたのかよ…逃げたいだけの嘘かと思っちまったじゃねーか!」
「あれだけ嘘じゃないって言ってたよね…?ほんっと百田ちゃんって真実を見抜くのが下手だよね!ほら、嘘じゃないってわかったんだから土下座して謝ってよ!」
「逢坂、テメーも巻き込んじまったことは謝るけどよ…でも赤松の事もほっとけねぇじゃねーか。テメーに嫌われたっつって散々泣いてひどかったんだぜ?」
「も、百田くん大丈夫!変なこと言わないで!」
「変なことって、本当のことじゃねーか。あのなぁ逢坂、好きな奴の事となったら、普段仲良いダチだってちょっとは邪魔に見える時もあんだろ。恋に盲目になってイタイ感じになってたって、笑って許してやんのが本当の友達ってやつだろ!」
「わぁああこれ以上そんな風にみんなに広めないでーーー」
わたわたとした赤松が、百田の口を両手で塞ぐ。なおモゴモゴとしている百田から視線を逸らし、逢坂は近くで居づらそうにしている最原を見た。
『百田くんも知ってるってことは、最原はもう告られたの?』
「………告られたっていうより、どういう経緯で逢坂さんと険悪な雰囲気になったのか聞いて……流れで……その……」
『……なるほど』
あぁ、なんてめんどくさい場に引きずり出されたんだ。
「って、顔してるねー逢坂ちゃん!わかるよ、オレも空腹すぎてイライラが募ってしょうがないんだよね」
『……王馬が捕縛されてんのは何の罪?』
「無罪だよ!」
「いーや、有罪だ!ハルマキの言うことが本当なら、テメーが嘘を逢坂に教えたせいで赤松が悪者になってるって話じゃねぇか」
赤松の手を自身の口からベリっとひっぺがし、百田が自信満々に判決を下し、王馬の顔を睨みつけた。睨み合う二人は言った、言ってない、と押し問答を繰り返し、水掛け論をやめようとしない。