第8章 見つめた時間
「げほ、がは……っ……あー死ぬかと思った」
「あんたがどうやってあの子に取り入ったのかは知らないけど、これ以上周りから孤立させようとするなら、あたしはあんたを殺す」
「…なにかと思えば、急に逢坂ちゃんの友達面…?カップルになった友達が仲間から外れていく…よく聞く話じゃん。裏社会の総統のオレだってうら若き高校生なんだから、他人の惚れた腫れたに首突っ込まないでよ」
「赤松はあの子を邪魔だなんて言ってなかったでしょ」
「……そうだっけ?半年以上前のことだから覚えてないや」
「言っていてせいぜい、「最原と雪の仲の良さに追いつける気がして、少しホッとした」程度だよ。三人が嫌だとか雪を邪魔に思ってたなんて一言も言ってなかった」
「言われてみればそうだった気もするよ!でもさ、盗み聞きはよくないよね?オレと赤松ちゃんだけの内緒話だったのに…もしかしてこれまでもずっと、逢坂ちゃんの様子うかがってたの?なんで?オレと逢坂ちゃんの間を引き裂こうとするなら、顔ぐらい彼女に見せてからにしなよ…何を恐れてんだか知らないし知りたくもないけどさ」
どいつもこいつも、と王馬は不機嫌そうに呟いた。
「みんな勝手だよね。逢坂ちゃんの側にいてやらなかったくせに、オレが現れた途端手のひら返して邪魔して批判だよ。失礼しちゃうなぁ、オレだって立派に彼氏やってるよ!」
「……あんた、本当に雪のこと好きなの?」
「だからさぁ、春川ちゃんには関係ないよね。ちょっと暴力が手慣れてるからって、オレに尋問なんて身の程知らずもいいとこだよ」
「周りを引き離そうとするのも、ただ単に、世界的な科学者のあの子を世間から引き離して、組織の仲間に入れようとしてるだけなんでしょ?」
「じゃあオレの組織のこと、春川ちゃんは何か知ってるの?知るわけないよね。知られたら秘密結社なんて名乗れないし、超高校級の総統の名が廃るよ」