第8章 見つめた時間
そして、王馬は春川でさえ身構える殺気を含んだ表情で言葉を続けた。
「もうさ、うんざりなんだよね。逢坂ちゃんのこと知ったかぶりして嘘つく最原ちゃんも、逢坂ちゃんが大事なふりしてすぐいなくなる天海ちゃんも、逢坂ちゃんの友達面して実はずっと心のどっかで邪魔に見てる赤松ちゃんも、一度自分の劣等感に負けて大怪我させて突き放したくせに今さらしゃしゃり出てくる春川ちゃんもさ!」
みんな、みんな
口を開けば笑えないつまらない嘘ばかり
彼女が大事?
うるせぇ黙れ
「オレが一番逢坂ちゃんのこと必要としてるんだから……やっと手に入れたんだから、邪魔すんなよ…!」
何日も、何ヶ月も、何年も
どれだけ嘘を重ねても
途方もないほどずっと前から、彼女を見てきたことだけは嘘じゃない
ガラスの向こうの横顔が、いつかこちらを向いてはくれないかと
もう何年、願い続けたことだろう