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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第8章 見つめた時間




『…………そっか』
「待ってよ、オレはまだ否定も肯定もしてないんだけど?」
『……しなくてもわかるよ。…そろそろどいてくれる?自分のベッドで寝たい』
「逢坂ちゃんのベッドには今キー坊がいるじゃん。三人で川の字になって眠るなんてオレはやだよ」
『キーボの部屋、空いてるよ。そちらにどうぞ』
「どうぞってなに。一緒に寝るに決まってるじゃん!」
『……いいから、どいてよ』


すっかり冷静に戻ってしまった逢坂。怒っているようには見えない代わりに、楽しそうにも見えなかった。
大きくあくびをして、彼女は上半身を起こした。すぐそばにある王馬の顔には目もくれず、ソファから降りるとキッチンに立ち、冷蔵庫を漁り始めた。


「……ねぇ」
『……』
「逢坂ちゃんってば。機嫌直してよ」


悪の秘密結社の総統である自分が、まさか誰かの顔色を伺うことになろうとは。
信じられない現状だが、そんなことに構って逢坂の機嫌を損ねたくはなかった。
気持ちとは裏腹に、相手を逆撫でしてしまうような言葉ばかりが口から出て行く。


「あ、オレも甘いもの食べたからしょっぱいもの食べたいなー」
「いやーそれにしても、赤松ちゃんたちがいる時には全くそんなそぶり見せなかったのに、あんな大作でオレの気を引こうなんて逢坂ちゃんも策士だよねーギャップを狙ったの?」
「ねぇー冷蔵庫で夜食漁ってないでさ、拗ねてるならオレの横座りなよ。今なら、歯の浮くような言葉を一つ二つおまけして、甘やかしてあげるよ?」
「てゆーかさ、高校生にもなってそんなキスの一つや二つ知らない方がどうなの?」


逢坂は冷蔵庫から500ミリのペットボトルに入ったプァンタを取り出し、王馬に振りかぶって投げつけてきた。

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