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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第8章 見つめた時間





『も、もうやめ…話す!話すから!』
「なんで?話さなくていいよ。もう少しキスしてたいし」
『王馬が話せって言ったのに‼︎』
「うーん、なんかどうでも良くなっちゃったんだよね。きっとオレの事大好きじゃなきゃそんな反応、しないだろうしさ」


ニヤニヤと笑う王馬は変なスイッチが入ったらしく、何を思ったのか、急に逢坂の耳に息を吹きかけてきた。


『ひっ!』
「色っぽくないなぁ、もう少し官能的な声を期待したのに」
『勝手に期待しないでいただけますか…!』
「ねぇ、オレとのキスはどうだった?」
『は!?どうって…!』
「さっきから動揺しまくりだねー。…ねぇ、気持ちよかった?処女の逢坂ちゃん。初めての大人のキスってやつはさ」
『……うるさいなぁ、どいてよ』


逢坂は自分の顔を両腕で隠した。表情が見えない中、王馬はいつも通り軽快な口調で話し続ける。


「ほんっと逢坂ちゃんって人間に興味あるんだかないんだかよくわかんない機械オタクだよね。まぁそんな初々しい反応する逢坂ちゃんを見られて、オレはつまらなくないけどさ!」


腕の防御を解いて、隙間から王馬を見た。楽しげに笑う彼は、照れた様子など微塵も見せない。だから、わかってしまった。彼はきっと、こういう行為を経験したことがある。平然としていられる理由は、そこなのだろう。


『………したことあるの?』
「んー?なにが?」
『……今みたいなキス』
「もしかして嫉妬?たっはー!逢坂ちゃんも遂にそこまでオレに夢中になってくれるようになったかー、いいねいいね、逢坂ちゃんがオレの組織に入ってくれる日もそう遠くない気がしてきたよ!」
『……否定しないの?』


逢坂は、ぽつりと、ひどく落胆したような声を出した。まさかそんな反応をされると思ってもみなかった王馬は、その問いかけに口を閉ざした。一瞬の空白の時間があったせいで、王馬の感情の機微に敏感な彼女は、気づいてしまったようだった。

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