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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第7章 嘘つきの本当




「なら、なんで今日オレのこと誘わなかったのさ」
『間に合うかわからなかったから。楓と夢野がオーブン破壊したせいで家電製作からのチョコ作りだったし』
「ふーん?じゃあ逢坂ちゃんは夢野ちゃんの恋路が叶わないのわかってて手伝ってたんだ?たっはー悪趣味だね!」
『……叶わないとは思ってなかったけど。本命チョコって決めたのはついさっきだし』
「は?」
『尋問はまた今度にしようよ。今日はバレンタインなんだからさ』
「さっき決めたとか言われたら、気になって逢坂ちゃんの好意を鵜呑みにできないよ!これから二人の関係が始まっていくっていうのに、スタートラインでつまづいてたらうまくいくものもうまくいかないじゃん!」
『え?始まるの?』
「当たり前でしょ?その気のないキスに続いて今度は何、その気のない告白なんて言わないよね?」


言ったら許さない、と王馬の顔に書いてあるので、逢坂はおとなしく頷くことにした。しかし王馬の言い分にも納得できない。歩きながら段々と鼻歌が溢れ出し、上機嫌を隠せなくなってきている彼に問いかけた。


『…でもさ、王馬の言葉で返事らしきものを聞いてないよ』
「……返事?」


王馬は本当に疑問に思っているような顔をした。逢坂は寒い外気に自分の息を吐いて、口から出て行く白いモヤを鑑賞するのをやめて、手を繋いでいる王馬を見つめた。


『私からは好きって言ったけど、王馬の返事を聞いてない』
「そんなの、今までのオレの言葉からわかることでしょ?」
『…言いたくないの?』
「言いたくないわけじゃないけどさー、それは大事なシーンにとっておこうかな!」
『返事を先に取っておくってことは、じゃあまだ付き合ってないってことだよね?』
「何言ってんの、付き合うに決まってるじゃん。なんかさっきからやたら逢坂ちゃんはオレと付き合うまで想像してなかったような口ぶりだけど、そんなことないよね?まさか人に告白してOKされといて、「あ、付き合うのはいいです」みたいなコンビニの店員が袋に入れようとしてるのに袋断るくらいの迷惑な通り魔じゃないよね?」
『袋断るのってそんなに大罪なの?』
「話を逸らさないでよ!」
『いや、逸らす気はないけど例えが気になってどうしようもなく』

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