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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第7章 嘘つきの本当




『私の顔見たくないかもしれないけど、間違いは間違いだって伝えさせてくれない?今日は、王馬が家に来るんじゃないかって分かってたし、最原を誘ったのは、二人きりじゃないって思えば天海が特に食いついてこないんじゃないかと思ったからだよ。…でも案外そんなことなくて、みんなで遊ぶ流れになったから、断り直そうとした時に王馬が来たんだよ』
「それ、全部逢坂ちゃんの言い分に過ぎないよね。オレの機嫌直したいからって嘘つかないでよ」
『…嘘かどうかは、王馬が一番見抜くの上手でしょ?』


逢坂は少し困ったように笑った。


『最原を選んだっていうのは、昼間王馬が最原のことを嘘つきって言ったのに私が言葉を遮ったから?』


王馬が不機嫌そうな顔を崩さず、けれど両手は逢坂に掴ませたまま、視線を逸らした。


『…王馬の嘘って決めつけたんじゃないよ。私はもう、王馬の言葉の意味が分かったから静かにしてほしかっただけだよ。最原と喧嘩してほしくなかったし、クラスの視線が集まってきてたから』


逢坂は王馬の手を離して、様子を見た。少し黙っていても、帰ろうと背を向けない彼のことを見つめて、ふわりと笑った。


『プレゼントを捨ててほしくないのは…私のわがままだから、たしかに王馬には押し付けがましいよね。でも、夢野に優しくしないのは、変に期待を持たせるのが可哀想だと思ったからでしょ?私の目の前で夢野のチョコを捨てようとするのは、私への王馬の気持ちを、私が疑わないようにでしょ?でも…ようやく…ようやく王馬のことわかって来たような気がしてたから、私を特別に扱ってくれる為だとしても、そういうことできる王馬を見るのは、また距離が離れるようで嫌だよ』
「…なんで?やたら逢坂ちゃんが焦った顔してオレを止めた理由が、何かあるの?」
『…知りたいの?顔も見たくないんでしょ?』
「いじわるだなぁ。教えてくれたっていいじゃん。今日オレがどんな気持ちで過ごしてたかわかる?わかんないだろうねー、逢坂ちゃんには。好きな人に想いを跳ね除けられる辛さなんて」
『…わかるよ』
「…え?」
『よく、わかってる。だから王馬にはそのチョコレート、捨ててほしくない。嫌なこと思い出して胸を痛めるくらいなら、ちょっとくらい嫉妬する方がマシ』
「………」

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