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ローオト

第4章 桜


「めっちゃきれい…!」

ローのおすすめで人が少ない穴場のスポットに来た。
すっかりあたりは真っ暗になって、その中でスポットライトに照らされるピンク色の桜は幻想的だった。風に揺れてひらひらと散る桜の美しさに、オトハもローも見とれていた。

「ロー、写真撮ろう!」

デートできる日が少ないため、思い出を作ろうとオトハが最近写真を撮ることにしている。

「私じゃ届かないから、ローがとるんだぞ?」

はいはい、とオトハの携帯を受け取り慣れた手つきで写真を撮る。

「ありがとな!これ、背景にしよ…あ、ローにも送っておくな!」

ポンポンと写真をローに送る。ローは後で確認しておこう、とオトハの作業を終えるのを見守っている。すると、オトハの前髪に桜の花びらが付いた。

「オトハ、桜が…」

それを取ってやると、オトハはローを見上げた。身長差が激しい二人なので、オトハはローを見るたびに首が疲れると言っていた。

「ローにもついてる…」

と、手を伸ばすが届かず。その動作にローはきゅうと腹の底が鳴るのを感じた。思わず口元を隠す。

「おい、今私が小さいってバカにしただろ!?」
「いや…別に…」
「正直に言え!おらおら!」

ポカポカと軽くローを殴ると、急にローがかがんでオトハにキスをした。

「…!」
「お前のひとつひとつの動作がかわいいって思っただけだ」

帰ったら覚悟しろよ、と耳元で囁くと顔を真っ赤にするオトハ。ローはにやにやとするだけだった。

「バカ、死ね!そういうところ!本当なんなんだよ!」
「俺は花より団子なんだよ、飯買って帰るぞ」

オトハの肩を抱いて元来た道を戻っていく。
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