第3章 アネモネ
暖かい春の陽気が漂う船上。次第に近づいてくる島を、オトハとシャチは見ていた。
「久しぶりの島っすね!」
「春島か…、シャチは島に着いたら何すんだ?」
「ん~とりあえず、女かな~」
シャチはデレデレと鼻の下を伸ばす。昔から女好きは変わらねぇな、と苦笑いをする。
「オトハ」
後ろから聞こえなれた声がする。その自分を呼ぶ声に少しだけドキドキする。
「ロー…、どうした?」
「島でほしいもんあるか?」
「え?」
「あれば買ってやるぞ」
これは、デートの申し込みだろうか。オトハは久しぶりにロート過ごせる、と思うと胸が躍った。
「ほしいもの…あんまりねェんだけど、ローと遊べるならどこでもいいぞ」
「…準備しておけよ」
帽子を目深にかぶって、また自分の部屋に戻っていった。
「オトハにうれしいこと言われたから照れてるんだな~、いいなぁキャプテン、愛されてんなぁ~」
「シャチうるさい!やめろよ!」
そのまま自室に戻って、デートの準備をする。