第6章 乗せられて
「ツッキー、タイミングも少し早くだ。
んなゆっくり溜めてたら木兎を逃しちまう」
「はいっ」
やっぱり、黒尾さんはよく見ていて教え方が上手い。
「彼女ちゃん、もうちっとツッキーにタイミング合わせろ」
「すみません」
蛍に目を向け、声を聞き、タイミングを合わせる。
「うぃ〜」
「くっそぉ!次は打ち抜く!」
それぞれタオルで汗を拭う。
「彼女ちゃん、実はブロックまだまだだねー」
「...分かってます」
「扱きがいがありそうだな。
ツッキーもタイミング、大分掴めて来たな」
「ありがとうございます」
「ところでツッキーくん?
ちょっと良いかなー?」
「...なんですか、黒尾さん」
「どうだった?」
蛍の肩に腕を回し、耳元で囁く。
「...なんで黒尾さんに言わなきゃいけないんです?」
「あっそー?
別に言わなくても良いけど」
「.......最後まではしませんでしたよ」
「ふーん?」
意味あり気に口角を上げる。