第3章 マメ
「ちょ、リエーフくん?」
いきなり詰められた距離に驚く。
「ヤ、メ、ロ」
「あでっ。
痛いですよー、何するんですか、夜久さん!」
夜久さんがリエーフくんを後ろから蹴り上げた。
フォームは綺麗。
「お前が何してるんだ。
ごめんな、柏木さん。
大丈夫か?」
「あ、大丈夫です」
「おー、どれどれ?」
リエーフくんのあとに続いて匂いを嗅ぐ木兎さん。
なんだか凄くいたたまれない...。
「ぼーくーとーさーんー?」
「え!?
な、何?
赤葦怖い!!」
いつも表情を崩さない京治くんは、誰が見ても分かるぐらいに怒っていた。
「あんた天然でセクハラ紛いなことするから気をつけてくださいって、前回の合宿の時に俺言いましたよね?」
「お、おー?」
「言いましたよね?木兎さん?」
「い、言いました!!」
「なら、何か波瑠さんに言うことは?」
「す、すんませんしたーっ」
「すみません、波瑠さん。
大丈夫でした?」
「大丈夫ですよ。
木兎さんも、そんなに落ち込まないでくださいね」
練習が始まる前にしょぼくれモードになってたんじゃ、皆が大変だ。