第4章 誘惑・・・? *五月*
「おやおやお主等、かくれんぼの最中と言うのにずいぶんと楽しそうだな」
「おっ?三日月か~…見つかっちまったな」
現れた三日月さんに気付いた鶴さんがようやくあたしの身体から離れた。あたしはその一瞬を見逃さず、鶴さんを勢いよく突き飛ばす
油断をしていたようで鶴さんは簡単に離れた。
あたしは、三日月さんのいる障子の方ではなく蜂須賀さん達の部屋につながる隠れ穴から部屋の外に出た
廊下を走り去って自室に戻ろうとしたとき、正面から鯰君が現れた。「あっ!!冴姫姉さん見っけ!!」と言っているけど、あたしはそれを聞いている余裕がなかった。彼の身体を躱し自分の部屋に飛び込んだ
「姉さん!?どうしたんですか?大丈夫ですか?」
『…鯰君ごめん。体調悪いから1人にさせてくれない?ごめん…かくれんぼの埋め合わせはまたするから…』
そういうと、鯰君は「お大事にしてください」とだけ言い部屋の前から離れていった。
部屋に入った瞬間、あたしは床に倒れこんだ
乱れた胸元にまだヒリヒリしている胸の先に少しさっきよりかさついている唇・・・
そして、あの時の鶴さんの顔・・・
あぁ…いやだ
思い出したくない記憶・・・
あの行為の意味なら分かっている。伊達に婚礼の刀じゃない
今までの主達はみんな経験していることだ。
・・・だからこそ、あの行為は嫌いだ
恐ろしく忌まわしい以外ない
「あぁ…いやだ…」
はだけた甚平をぎゅっと握り声を殺してあたしは1人泣いた