第12章 好意
「あ、冴姫さん。おはようございます」
「よぉ」
『あ…お、おはようございます!』
海の事件から数日、あたしはあの時から凄く兼さんを意識してしまっていた。幸いなことに彼と内番が被ることがなかったものの、この本丸にいる以上顔を合わせるからその度にドキドキしてしまっている
このことを、主ちゃんに言ったら・・・
「マジか!?よっしゃーーー!!じゃあこれからあんたの事めちゃめちゃ応援するからさ!!これでネタ…いや、本丸初のカップルが誕生する!!」
と、すごく喜んでいた
それは喜んでいいものかわかんないけど・・・
「どうしたんだ、冴姫。それでは馬が嫌がるのではないか?」
『へっ!?あ、すみません。!!ごめんね~』
と、ぼぉっとしていたら馬当番だったのに馬を掃除用ブラシで擦ろうとしている直前だった。一昨日顕現された大包平様に声をかけられなかったらきっとやっていただろう・・・
「何か悩んでいるのか?」
『いや…』
「悩みがあるのなら話してみろ」
『…ッ!?鶯丸様、いつの間に…!?』
と、いつからいたのか分からない鶯丸様がいた
でもこのことは話すべきではないと思っていても、こんなことが続いたらきっと迷惑かけてしまうと思って
『いえ、大丈夫です!すみません、ぼぉっとしちゃって…』
「そうか?なら、この後茶でもどうだ?数珠丸とにっかりに茶菓子をもらったのだ。茶を飲めば、少しは気が晴れると思うぞ?」
『…じゃあ、ぜひ』
と、笑顔をみせれば大包平様も鶯丸様も笑顔になった
すると、鶯丸様はじゃあ今から行こうとあたしの肩を持って馬小屋を出ようとしたから、それは全力で大包平様に止められた