第10章 初出陣 *文月*
『じゃあ行くよ、小夜ちゃん』
「うん…」
夕日が沈む時間がかなり遅くなり、かなり暑い日が続くようになった文月
今日は、あたしと小夜ちゃんの手合わせの内番
・・・最近内番での手合わせの当たりが凄すぎて水無月の終わりくらいからずっと手合わせばっかりだった。・・・昨日の太郎様との手合わせは辛かった
そしてそのせいか、あたしの打撃がどんどん上がっている気がする
「…ッ!姉様、前よりも強くなってるね」
『へへっ、そうかな。まぁ…出陣はできないけどね!』
「うん…でも、僕も負けないよ」
『ッ!!』
でも、極みになっている小夜ちゃんから一本取るのは至難だった。
「…そこだね」
『あっ!!』
小夜ちゃんに背後に回られてしまい、脇腹に入られてしまった。しかしそこは間一髪で躱すことができた
「姉様って、攻撃を避ける時凄く綺麗だね」
手合わせの手を止めて、小夜ちゃんがそんなことを言う
あたしは全く意識していないけど・・・
『そうかな…?』
「うん、着物の袖がヒラって舞ってて綺麗。なんか…踊ってるみたい」
『えぇ~、それはどうなのかな…』
と、自分の持っている木刀を手で弄りながら小夜ちゃんとそんな話をしていると「お小夜、冴姫さん」と道場を覗きながらあたし達を呼ぶ歌仙さんの声
歌仙さんは確か、炊事当番だった気がする
「今蒸し饅頭が出来上がったけど一緒にお茶にでもしないか?」
『…!!』「…!!」
歌仙さんの言葉に、あたしと小夜ちゃんの顔色が一変明るくなった