第1章 数学教師×さくらい先生.
「ふーん、大学生ね。やるじゃん、年上の男捕まえちゃって」
『そういうの本当いいですから』
「はは、ごめんごめん」
黙って私の話を最後まで聞いてくれた。
遮らずに最後まで聞いてくれて、正直、かなりスッキリしている自分がいる。
「…でもさ、年の差なんて関係ないって、お前は思ったのかもしれないけど」
突然、真剣な、まっすぐな口調でそう切り出されて、
思わず先生の方を見る。
「お前だって気にしてたんじゃない。
年上の大学生の彼氏、だから自慢だったんだろ。
年の差とか肩書きとか、お前の方が気にしてたんじゃねえの」
胸がズキッとした。
今度こそ、本当に図星だった。
私は彼のどこが好きだったのか、答えられない。
だけど、ルックスとか、年上とか、大学生とか、自慢だったところはいくつでも言えた。
彼の隣に並んでいたら、背伸びした自分で居られた。
私は大人ぶりたかっただけなんだ。
何も言葉を返せないまま、私は俯く。