第3章 保健医×にのみや先生
遠ざかっていく先生の手首を、ぎゅっと掴んだ。
一瞬、驚いたように目を丸めて、先生は私の方を見る。
襲うくらいの気持ちで居ないと、届かないよ。
だって、本当は叶うはずのない恋なんだから。
そのまま先生の体を引っ張ると、先生はよろけるように私の顔の横にもう片方の手をついて、
私の顔を見下ろした。
急に先生の口元が、意地悪ににやっと、笑みを浮かべる。
「なーに、相葉さんの罠にまんまと嵌ってんの」
…え?
低い声で、半笑いで呟かれて、私は思わずなにも言えずに先生の顔を見上げてしまった。
きっと、すごく間抜けな顔をしてる、いま…。
でも、だって、話が読めなくて。
先生、誤解してたんじゃないの?
相葉先生と私になにかあって、それでスカーフ忘れたんじゃないかって…