• テキストサイズ

dear my teacher..

第1章 数学教師×さくらい先生.




「…   ?お前何してんだこんな時間に。………お前、泣いてんのか?」




一瞬、もしかして彼が戻ってきてくれたんじゃないか、なんて期待した自分がバカみたいで


恥ずかしくなって、あわてて涙をぬぐった。





『先生、こそ何してるんですか…なんでこんなとこに』





なんでこんなとこに、こんなタイミングで…。


学校の外で見る先生の姿、新鮮だけど、今日はちょっともう見飽きた。

私じゃなくて、もっと先生を好きな別の子に、

こういう偶然が訪れたらいいのに。



櫻井先生が苦手な私にとっては、ただのアンラッキーだ。







「俺は夜の見回りだよ。当番だから。お前制服でうろちょろするとか良い根性してるな」



はっとして、コートの前を閉めた。


…相変わらず、生徒に興味ないんだな。

私だってわかって声掛けたんじゃなくて、自分の学校の制服だったから、

声かけなきゃならなかっただけ。


…ほんと、最低の先生だよ。





『…予備校の帰りです。別に遊んでた訳じゃないですから』




私の言葉を聞いて、櫻井先生は手に持っていた名簿らしきものをぱたん、と閉じた。


もう帰ろう、もうやだ。


ほんと、今日はいいことない。

携帯没収されて、彼氏に振られて、泣き顔見られて。




顔を見ないようにお辞儀をして、先生に背を向けて、私は駅の方へ向か、おうとした。






『……、なんですか』



でも、できなかった。


手首をがしっと掴まれて、私は立ち止まる。




「家まで送る。そういう決まりだから」
/ 79ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp