第2章 国語教師×まつもと先生
「お前マジで馬鹿なんだな」
『はあ!?』
ドキドキして損した!
さっきから馬鹿とかどんくさいとか…
震える手を隠すように躍起になってプリントを拾う。
そんな私を横目に見ながら、松本先生がふっ、と笑ったのに気がついて振り返ると、予想外の言葉を投げかけられた。
「古文の解釈、わかんないんじゃねえの」
『え?』
「古文ってさ、ほとんど全部恋愛の話なんだよ。
まあ昔の人が書いた少女漫画みたいなもんかな。
ほら がこの前ボロボロだった光源氏の問題も」
松本先生は突然真面目な顔でそんなことを話し出す。
完全に授業モードだ。
「光源氏と、まだ子供だった若紫がはじめて出会うところ。
あれなんて凄いシーンなんだよ、恋が始まる瞬間だから」
熱弁する松本先生。
だから急に恋愛経験とか言い出したのか…。
半分納得した気がするけど、半分納得できない。
私の恋愛経験とか、先生知らないじゃん!