第1章 数学教師×さくらい先生.
『櫻井先生が、いつもにこにこ感じ良くしてるのも、本当は表面的だって、上っ面なんだって私気付いてます!
私になんて、ううん、生徒になんてちっとも興味ないってこと私知ってますから!』
怒った口調で早口にまくしたてると、
櫻井先生はちっとも動揺もせずに立ち上がって、
私の目の前まで歩いてきた。
「興味、ね。少なくとも、興味はあるよ。俺に恋してる生徒、とか面白いし」
『はあ!?だから、違いますって…』
怒って言い返そうとした瞬間、
ぐいっと、腕を引かれた。
先生に、手を引っ張られるの、これで三回目。
一回目と二回目の勘違いが、頭に浮かんで、
なんだかドキッとする。
三回分のときめきが、一気に押し寄せてきた、感じ。