第7章 【澤村】酔わせたい
(結構な頻度です)
と内心でつっこみを入れたくなる。
(おかげでお迎えつきっていう優越感と、嬉しさでいっぱいだけど)
と笑みを浮かべる名に
(って思ってるんだろうなぁ。)
と澤村は、名の手に取るように分かる思考を面白がり、あんなキャラの濃いスタッフ達と一緒に働けるのに人前に出るのはめっぽう弱い部分がある名の来る就活を心配していた。
(相手を選んでるのは良くないんだよなぁ・・・)
と思いつつ、そんな心配をするのは成人済みの人には失礼だし、それに
(名が凹んでも俺が立ち直させるし)
と思っている横で
(店長の作戦今日も失敗だったな)
と呑気に澤村を酔わす策を考える名。
「これが飲めればなんでも飲めるわよ」
と勧められたアルコール度数がなかなかあるウイスキーを好んで飲んでしまう澤村。量で飲む名と度数で飲む澤村といったところだろうか?
(こう、弱音をはいたところに優位に立ってみたい!かわいいところが見たい!)
「帰ったら二次会する!?」
「いやいや、貴女は結構飲んだろ」
「いやいや、こんなんまだ大丈夫ですよ」
グッと拳を握る名に呆れる澤村
「はぁ、明日は何曜日ですか?」
「・・・・火曜日です」
まだまだ週始め。学生に週は関係ないのかもしれないが、澤村は社会人。それは仕方ないと肩を落とす名に
「今度の休みの日にな」
と繋いでいた手を強めに握り返され、スガ達も呼ぶかとにかっと笑う澤村に
(そのまま私に甘えてほしい!)
と、いつも自分ばかり甘えさせてもらっている分たまには弱音をはいて、自分がしっかりしてるところを見せたいし、甘えて欲しいと思う名だった。
そして
『スガさん!大地さんに弱音をはかせたい!』
『また変な事考えてんなー』
と菅原に連絡を入れては
「ってまた変な事考えてるから、たまには甘えてあげなよ」
と澤村に名の計画は筒抜けで
「いつも悪いな」
と電話越しに笑えば笑いが返ってくる。
弱音と言える弱音はないけれど、心配事の種が自分の事だと言われたらどんな顔をするのだろう。凹む?嫌がる?驚く?余計なお世話?
(それはもう少し先だよなぁ)