• テキストサイズ

君と並んで歩く未来

第6章 無法地帯


「丸井!丸井ー?」
「だめだコレは、起きないね…」
吉野が酔って眠りについている丸井の頬をぺちぺちと叩きながら起こしてみるも丸井は深い眠りについているのか全く反応を見せない。それに榊は眉を下げ困ったようにつぶやく。そこで二人は部屋を見回す。そこには自分たちが食い荒らした跡が無残にも散らかっている
「「……」」

「よし解散!」
吉野はそのままクルリと丸井に背を向けてドアを潜っていく。それに続くように他の寮生たちも次々とドアの向こうへと足を延ばしていく
「次は絶対片付けるからな、丸井!ほんと次こそはな!マジで!」
そしてこのようなことは今まで幾度となく繰り返されてきており、これからも続くことになるのだった



「さぁ丸井くん、温かくしてお休み…」
床に寝転がって眠る丸井にタオルをかけてやりほほ笑む一色。そんな彼の背後では創真が欠伸をしながらも自身の相棒である包丁を手入れしている。瀬凪は散らかった部屋を少しでもきれいにしようとどこから出したのか大きなごみ袋を手に持ち紙皿や紙コップ等を捨てている
「創真くん、瀬凪くん!この歓迎会で晴れて君達も極星の一員だ」
一色はその場に座り込みながら二人に語り掛けるように話しかける
「分からない事があれば遠慮せずに聞いてくれ」
その言葉に創馬は口を開く
「じゃあー」

「十傑ってどうやったら入れるんすか?」

一色と瀬凪の動きがピタリと止まる
一色はやがて笑顔を浮かべて背後にいる創真を振り返る
「ふふ…そうだった。君はこの学園の頂点を獲るんだったね」
創真はスッと立ち上がりながら
「ちょっとした親子喧嘩の途中で。ウチの親父に認められるにはそんくらいやんないとダメなんで」
クルリと振り返り一色を見降ろす様に目を向け創真は不敵に言い放つ
「さっきの対決は引き分けでしたけど」

「いま先輩に勝ったら俺が遠月で七番目になるの?」

創真の言葉に一色は顔を俯けて怪しい笑みを浮かべる。しかし次の瞬間には
「素晴らしい!!素晴らしい向上心だ創真くん!」
ガバリと飛び上がるように涙を流しながら立ち上がる一色。それには予想していなかったのか当人の創真も様子を一歩引いたところから見守っていた瀬凪もびくりと肩を揺らす

/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp