• テキストサイズ

君と並んで歩く未来

第4章 その料理人は笑わない


「やー…授業で料理するなんて家庭科の調理実習以来だなー。なー瀬凪」
「そうだね」
周りからの視線を一身に受けながら会話をする創馬と瀬凪の二人。創馬はおそらくこの授業で使うであろう玉ねぎを片手で真上に放り投げている。そして瀬凪とは違うもう一人のペアの少女に話しかける
「…えっと田所さんだっけ」
「何で親の敵のように『人』の字を飲んでんの?」
「あ!…こ、これは緊張しないように…って思ってですね…」
あせあせと創馬の質問に答える田所。瀬凪は彼女の様子を見て大丈夫なのだろうかとまだ始まったばかりの授業が心配になった。それは田所が失敗することとかではなく
「…私、あと一つでもEとったら退学だから…」
「E?」
これには瀬凪も首をかしげて田所に質問した
「(わわっ…!朝比奈さんに話しかけられちゃった…!)あ、あの、料理の出来によってA~Eの5段階で成績が決まるんです。授業毎に違ったりもするんですけど…」
先程の始業式から美しいと評判の瀬凪に話しかけられてきょどりながらも説明する彼女
「そうなんですね。ありがとうございます」
「い、いえっ!」
「ふーん…」
創馬は彼女の説明に悪意のない言葉を投げかける
「エリート校って聞いたけどオマエみたいなのもいるのなー」
その言葉は矢となって田所の心に刺さる。その様子を見て瀬凪は溜息を吐いた。そう、彼女が最初に不安に思ったのは田所が創馬の悪意なき辛辣な言葉に耐えられるかだ
「俺は幸平創馬!創馬でいいよ。よろしくなー」
自分が相手にダメージを与えているとは素知らずのんきに自己紹介をする創馬。その様子に早くも本日二度目の溜息。しかし瀬凪も自己紹介しようと田所に体ごと視線を向ける
「私は朝比奈瀬凪といいます。お好きなようにお呼びください」
その瀬凪の言葉に田所は大層慌てた。何故なら先程言ったように彼女は既にその美しさが評判となっている。しかも何故かこの短時間に彼女のファンになってしまっている人もいるくらいだ。彼女も創馬と同じく大胆不敵な発言をしていたにも関わらず、だ
/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp