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君と並んで歩く未来

第3章 魔王、『玉』を語る


自分たちの横を通り過ぎながら言われた言葉に
「中等部…3年間ねぇ…」
瀬凪は目を細めながら二人のやり取りを見ていた。きっと彼らはこれからも関わるだろう。そして彼女自身も
「12年間俺は調理場で生きてきたんだぜ?」
その言葉にえりなは目を見開く。創馬はそれを気にせず言葉を続ける
「『まずいわよ』って言われたままで店の名に泥を塗る訳にもいかねーな」
彼の顔には笑顔が浮かんでいる。だがその笑顔はうれしい時や楽しい時に浮かぶようなものではなく、挑戦的で自信にあふれた笑顔
「楽しみにしてなっアンタの口からはっきりと『美味い』って言わせてやるよ!」
創馬の横で瀬凪は顔をうつ向かせて小さく笑っている。確かにこのままでは店の名に泥を塗ったままだ。だからこそ言わせて見せる。瀬凪自身の料理でも
「俺の料理の限りを尽くして__」


始業式が終わりさっそく授業の時間になった
「よし、クジの通り二人組、もしくは三人組に分かれたな?」
瀬凪は驚くことに創馬とペアだった。もう一人初対面の女子生徒はいるが
「おー瀬凪、一緒のグループかぁー!よろしくな!」
「うん」
瀬凪は創馬に返事をしながらもう一人のグループのメンバーに視線を向けた。顔を青ざめさせてとても元気には見えない。大丈夫だろうかと思いながらも彼女___田所恵が顔を青ざめさせている理由を大体察していたため不用意に声をかけられなかった。瀬凪の予想では彼女の挙動不審の原因は自分たちなのだから。先程の始業式の際にあれだけのことを言ったのだ。目の敵にされるか、怖がられるかの二択だろうと彼女は授業前から思っていた。実際のところ彼女の予想は大当たりだった。現に多くの視線を集めているのだから。まあほとんどが創馬へのものなのだが。中には瀬凪へのものもあるが、彼女へのものはほとんど、いや9割がた羨望のものばかり。悲しきかな世の中は結局金と見た目なのだ。稀に彼女への敵意もあるが、それも彼女の美貌への嫉妬からくるものだ。
こんな中だが彼女たちの学園生活は始まったのだった
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