第18章 絶対安静
再び『ケイト』と、その名を呼びかけながら、僕はその想いを打ち明けた。
フィン「本当に…ありがとう」
君と会ったことで、恋を経験したことで…確かに、僕は変わった。
でも、そうならなければ、そもそもケイトと出会わなければ…
きっと…この胸を焦がす『想い』を知りはしなかっただろう。
それだからこそ、学び得たことは数多く…書物のそれよりも遥かに奥深くすらある。
見ると聞くとでは大違いというように、実際に経験しなければその深みは理解できない。
それを身を持って知った。
今になって思えば、恐らくロキは『初めて告白をしようとしている相手』ということから、『初恋の人』と表現したのかもしれない。
でも今になって思う。
ケイトでなければ、これほどまでに感情を掻き乱されなかっただろうと。妙な確信もまた共に。
だからこそ、何度でも想う…
『失ったものを…捨てたものを、取り戻させてくれて、身を持って与えてくれて、ありがとう』と。
ケイトのように好意、もとい恋愛感情までをも抱いた相手は、長い人生の中で初めてだった。
これほどに感情が掻き立てられる相手は、初めてのものだった。
そうして気付けば、僕にとって『光』と…『希望』となっていた。
フィン「ケイト…ありがとう」すり
そう感謝を再び述べながら、ケイトへ擦り寄って目を瞑った。
長年の出来事が頭をよぎる中、紡がれた想い。
それでもケイトは、変わらずに受け入れるだろう。
それごと惚れたのだと、愛していると言ったように…
そのすぐ傍に感じる『温もり』に、安心して寝ていたようで…
気付けば、次の日の朝になっていた。