第18章 絶対安静
フィン「はあ~(バクバク)
(そういうことか…;)
脅かさないでくれ;」
内心、勝手に立てた誓いを聞かれなくて安心する中、心臓が早鐘を幾度も忙しく打つかのように、激しく脈打つのを感じた。
ああ…しまった。
『フィン・ディムナ』ではなく、今は『フィン・グレイロア・ディムナ』だった。
フィン「…済まない」
赤く腫れてないか確認した後、その左腕をそっと撫でた。
それから、僕はケイトの耳元で名の件の訂正と共に囁いた。
『知らないままでもなお名字となったディムナという名を大事に思ってくれたこと(393ページ参照)』が、内心嬉しかったこともまた、ケイトへ伝える為に。
すると、身動ぎしながら「気にするなって言ったのに、もおお~。むにゃむにゃ」と返ってきた。
フィン「全く…//
君に出会えて本当によかった、心から想うよ^^//」くす&なでなで
そう思いの丈をそっと呟きながら、僕は笑みと共にケイトの頭を撫でた。
きっと、「わかる」と言われたとしても僕はそれを受け入れはしなかっただろう。
『何を知っているつもりだ?!』という思いが、止められなくなっていたはずだ。
ケイトの言うように、それは経験した者にしか解り得ない。
それを味わった上で何を思うか、どう考えたか…どの道を取るか。
その上で、僕は選んだ。全てをそれに捧げることを決めた。
それも含めた僕の全てを、ケイトはちゃんと見てくれた。
不用意に同意するでもなく、次々にケイトの抱く思いを上げていって、その在り方ごと惚れたのだと逆に応援までされた。
誰にも話さないと決めていた過去。それでもよぎった。
その恐怖を払うかのようにケイトの首元に顔を埋める中、必死に人工呼吸で生かそうとしていた当時の想いがよぎる。←533ページ参照