第98章 天泣(てんきゅう)
モールモッド十数体が村中を覆い尽くし…
火の手が上がる
夕暮れの真っ赤な明かりの中で、立ち込めるのは…
目の前に横たわる躯、亡骸
血…血……血………
夥(おびただ)しい赤色が——視界いっぱいに張り巡らされていた
恵土「うわあああああああああああああああああああああああああ!!」
ばちちちちちちちちちちちち!!
体から、全身から稲妻が迸り、奔流となりて周囲を文字通り飲み込む
慟哭と共に喉笛を震わせる咆哮が、辺りに響き渡る
そのまま…近くにあった棒切れを拾い、大雨に打たれる中…振り被った
トリオンが棒切れに纏わりつき、刃となりてモールモッドを爆発四散させる
恵土「うああああああああああああああああああああああ!!!」
その目は白く光り、全てを叩き斬るまで続き…夜明けまで続いた
皆を返せ——!!
血と涙で塗れる中、木刀へ持ち替えて…
母の亡骸を胸に抱き、全てを斬り伏せていた
トリオン器官を抜かれ胸が赤く染まり動かぬそれを腕に抱え…夜明けまで続く増援へ向け振るい続けた
そして有吾が引き取り、ミデンへ帰ってから
ボーダーとしての仕組みを色々作ってから、またネイバーフッドを転々と渡った
恵土も一緒に行ったが、途中で『ミデンに帰れ、お前の道を見つけろ』と言われた
ネイバーフッドを渡るのはその後でもいい、と…
そして一人で帰ってから、城戸さんや皆と過ごす道を選んだ(19年前)
それから1年後、結婚式にも参列した(有吾に頭を撫でられる中で腕組みをしてそっぽを向いていた、が…影で笑い掛けていた)
本人が幸せなら、それでいい…と
遊真は母親似で、活発で快活な所がよく似ている
一緒に過ごした期間(16年前、期間は3か月ちょっと)もあった
(お母さんと呼んだ時はそれはもう嬉しそうに抱き締めて頭を撫で回してくれた)
15年前、遊真の母は…産んでから産後の肥立ちが悪く亡くなった
葬式にも参列した
有吾は一人で育てることにしたらしい
で…恵土は自立も兼ねて自由に動け、とのこと
13年前、遊真が2歳の時に会ったのが最後
それから…
12年前、5歳の秀次が姉ちゃん!といって引き摺って三輪家に戸籍上引き取られることとなった
それまでネイバーフッドにも行かず、ミデンで弧月を手にして剣技を劣らさせない為に…ウィザ爺を思い浮かべながら修錬に励んでいた
