第97章 神無(しんむ)
ピクリ
ケイトの指先が動いた
初代『放棄は痛み止め、モルヒネの役割でもあるの
それを打ち破るには…
∞倍(削り最小)のままで、目を覚まさせるには……
それ以上の刺激が必要不可欠なの…起きたいという願いが——』
初代に掛けられた声、教えが想起する中…詩と共に、伝える
みんなの想い出と共に
生き続けるいつまでも
今在る全ては形見だから
守り通すよ
みんなでひとつの家族
たとえ亡くなったとしても
中に在るよ
全ての中に
必ず生きて繋いでゆこう
ここまでやってきたのだから
共に生きよう
さあ目を覚まして——お寝坊さん
ケイト「…っ」もぞっ
『!!』
ぱちっ
ケイト「………
…?
なんでみんな…楽器持ってるの?
『起きた/やったああああああああ!!!!!!!!』
大きくその場でジャンプし
一つの輪になって、互いに喜びの声を上げていた
歓声に包まれ、怒号のように重く大きく低く響き渡っていた
そしてそれは…地底世界でも同じで、同じく各々歌ってくれていた
祈りが、想いが、願いが、通じた…
感涙を禁じ得なかった
咽び泣きながら抱き合っていた
ケイトが削りで…眼球を除き、無事な部分等何一つない深刻な実情を伝えていたことも踏まえて
何か一つでも恩返しできたらと、心を痛めていたから
何故泣いているのか、何故そんなに喜んでいるのか…何がなんだかさっぱりという顔で、まん丸とした目でケイトから見つめてこられ…そのお返しに抱き締めて唇を落とした
ずっとずっと待ってたこと
今居るのは神国の治療場で
どれだけ痛みや刺激を与えても全く意識が戻らなかったこと
キスをしても何をしてもなんの反応すらも無かったこと
泣いて泣いて泣き叫んで
慟哭を上げ、必死に伝えた
嗚咽にまみれながら…
削りの痛み体験アプリも作って今深刻な状況を伝え、みんなでひとつの詩を作って歌い、やっと届いた所だと
対価として認めてもらえ、ようやっと起きたのだと……
放棄した13日から9日も経ったこと…
爆太郎に、前世に僕とケイトを会わせた馬に
零していた愚痴を教えてもらったこと
大事な人の顔も声もやり取りも削りで喪って、亡くなった人のはもう共に過ごせない為何故大事なのかもわからず、夜な夜な咽び泣いていたことを知ったこと