第97章 神無(しんむ)
2026年2月22日(外は23日)
バレンタインのチョコは…
皆の空間収納庫の中へ各自入れられていた
本当に…
ケイトは……
どうして人のことばかりで、自分には何もしないんだ?
強さを追い求めもしないで
僕等ばかりを見て
少しでも幸せで在るように
長生き出来るように
無事で在るように
ただそれだけを願って生きてきた
もっと我が儘になってもいいのに
それを伝えても…
それで幸せを少しでも減らしてしまう方が堪らなく嫌だの一点張りだった
死ぬ際になっても使わずにいた放棄…
それを使ったということは……
主犯格の癌の闇の副流煙がダイオキシンなんて比にならない毒素を持っていたからだろう
癌化を、半グロ化を、齎し兼ねない
それだけじゃない
これまで以上のそれを生み出し兼ねないから…
それを完全に無くす為に——対価として差し出したのが…放棄なのだろう……その罰ごと込みで
もう少し早く言ってくれれば…
何度もそう思った
だが…もう少し早く放棄をしていれば、確実に武彦とバハムートは無事では済まなかった
それだけじゃない
地球も宇宙も世界もタダでは済まなかった
話していてどうにかなる問題じゃない
そこを理解していても…
どうにも仕様が無いのだとしても…
それでも…ただ、話して欲しかった
信じて貰えてないようで
堪らなく悔しくなる
だから…その想いも込めて、音として届けた
祈りを込めた、アルファリズムを——
静かな祈りから始まり…
次から次へと旋律が光と共に溢れ、浮かび、流れ出してゆく
ケイトへ向けて—
出会った時のこと
共に時を過ごした時のこと
少しでも、少しでも…幸せで、無事で、長生きして欲しい、その想いを一身に受けた…互いへ向け合った、通じ合った温かな時を——
君が居てくれて、本当に良かった
笑わせてくれた
温かな心をくれた
希望をくれた
いつだって…心地良い空間を与えてくれた
側で居て、笑ってくれるだけで…何も要らなかった
今だって…そう想ってるよ
だから…お願いだ
目を覚ましてくれ
世界が、みんなが…それを願っている
心から
想っている—
全ての光を——君に———
温かな光の粒が、世界全土から浮かび上がり、瞬き、ケイトへ雪崩込んでゆく
届け——
届いてくれ——