第95章 神(しん)
神卵「ただでさえしんどくて辛くて死にそうって時に
そんなことされたら…悲しいよ?
自分は消えてもいいからって
同じ想いでしたのだとしても
中身が違うよ?
みんなを守る為に、自分を削ってまで差し出したもの(欠片)を
何も考えず、労さずに、自分だけ削らず、貰ったものをそのまま返されたら
自分も削らず、何も労さず、ただ突き返すだけ
安易に、楽な方を取って、何も考えずに…
そんなの……(ぽとっ)
傷付くよ」
落涙し、悲し気な、痛々しい表情で呟く
神卵「削って欲しいんじゃない
同じ行為で返して欲しいんじゃない
ただ…同じ想いで、同じ心で…互いに生かし合いたいだけ
それが共生で…共存で、本人の望む融和なんじゃないの?」
その時…わかった
ケイトの中のウレイオスも泣いていた
自分の再生力を生かして
出来ること、つまり削りで守ろうと頑張ってきたのに
その頑張りに、そのまま突き返すことで守られても、なんら嬉しくなんかは無かった
中身、心は…自分が消えることになっても、返したい、生きて欲しい
それは嬉しい
それ『だけ』は…
心だけは…
でも…そうじゃない
各々の、ひとりひとりに出来ることで
返そうとされることの方が…嬉しかったよ
というのが本音だった
本当にして欲しかったこと…
贈り物は……
ただ突き返すだけでは、果たせないものなんだ
フィン「僕達に…
僕達だから、出来ること……」
神卵「そう…
それが…融和の始まりだよ
ごめんね…もう、眠たいよ
ふああああっ」
フィン「ああ…
言葉にして、伝えてくれてありがとう
今度こそ…正しく、返してみせるよ
僕達に出来ること、僕達にしか出来ないことで」真剣微笑
神卵「にっ)期待してるよ?」にっこり微笑
そうして…
糸が切れたように眠りについたままのケイトに付き添ったまま
自分達にしか出来ないことで返そうと励む道を選んだ
苦労しても、時間を費やすことが必要になっても
そうしてでも守ろうと贈ってくれたものに
恥じないように、引けを取らないように…
それと釣り合うほどの何かを…
差し出そうと、贈ろうと、必死になった
彼女の望む心、それを見て……
成長の過程上どうしても防げないのなら…
削りが最低限になるよう努力しつつも、自分達にしか出来ないことでケイトに返そうと
