第95章 神(しん)
フィン「…死ぬしかないのか」
ぽつりと呟いた言葉
それに対する言葉は無く
痺れを切らして、安易な方へ思考は走った
全て消すか
と安易な考えを述べると、その瞬間に拳骨が飛んできた
フィン「……はあっ
(聞こえてるじゃないか」
額を押さえ膝に肘を付いて項垂れる
ケイト「すーすー」
寝息を漏らしたまま、ずっと目を瞑っていた
そうか…
皆そうして生きているんだったか……
頬杖を付いて、考えを纏める
だから…黙って受け入れているのか?
お互い、誰かに頼って、頼られて
そうし合って生きているから?
だから…君だけが削られ続けて……
それを…当然だと笑えばいいのか?
そんな糞みたいな理屈が在って堪るか!!
縮まる一方じゃないか!!!
憤怒に似た感情がふつふつと沸き上がってゆく
突沸した煮え湯のように、煮え滾っては噴火してゆく
泉のように何も無い所から湧き上がってゆく
報われない側は…どうしたらいい?
残された側は…どうしたらいい?
自分のことしか考えず
自分の実在化に関連することで犠牲になっていても、無関心を装い、なんら何もせずに笑って在って当然と馬鹿にする存在が
ゾンザイにし続けた側こそが生きるべきだなんて、僕には到底思えない
フィン「なんで…そんなことが罷り通る?」
罷り通って欲しくなんかはない
そんな胸中をさらけ出すような本音に
現になってるじゃないとばかりに、沈黙が返ってくる
ケイト「私が死んでも代わりが立てられるだけ
詮無きこと
何をしても…変わらず続く
そう在り続けてゆく
これからも…ずっと……笑って………
自分のしたことも自分で背負えず果たせぬものが…歪み
してもいない人々へ、誰かに支払わせる根源
自分で蒔いた種も自分で刈り取らず、最後までやり遂げる力も責任感も無い…
だから透明になり、何も背負えず空っぽのまま消えてゆく
自らの手を汚そうとも、その穢れは背負わず、人に背負わせて支払わせ笑う様…益だけ啜り、笑って去ってゆく
それを…罪を被せ、自分が受けるべき罰を受けさせ、してもいない人へ責任も後始末も全てを着せ、それでもなお痛まぬ心こそが、魂の膜を破る闇の根源となる
まあ要は……自分のしたことぐらい、自分で負え
自分のケツぐらい自分で拭けって話だ
これまで無関心でいた事実も…込みで」真剣