第95章 神(しん)
ベリアルが堕天使と言われる所以…
それに関して
初代原初の始祖神はこう述懐している——
初代『ずっと近くで最愛の人達が苦しむのを見ているしか無く
更に言うと、苦しめている人達は笑って、苦労を知ろうともせず、痛むことも無く日常を謳歌して、人の悲鳴を笑い続けている
少しでも減らそうとすらもせず、癒やすことしか手慰み程度でしか力になれない
そりゃグレますよ
ええ、大いにグレましたとも
そんなクズらの為にこれ以上苦しむなああああ!!ってヤケにもなりますよ』
晴れ間が差し出した
初代『泣いてくれる人
寄り添ってくれる人
痛んでくれる人
少しでも減らそうと頑張ってくれる人
それらはみんながみんな悉く(ことごとく)、挙って身投げしましたよ
残ったのは…
それらが出来ない人達の10垓人だけ
上層部の1000人を除いた人数で…
創世時に深く密接に関わった人達だけを残して
みんな全て…泣きながら自決(身投げ)していった
二度と生まれてこないことを対価にし、負荷を、削りを減らしてくれた
主犯格の癌1人のせいで
976垓人が身投げし
2800年前にケイトが生まれてくるまで壮絶極まりない想いをしてきたという有り様
それらが事の顛末
身投げしないで平気で居られる
笑顔でいられる…
そんな人達だらけの中で…
どうやって安心して笑って等居られるのか…
いや出来ない
出来る訳が無い』
5640ページ参照
ルシファーと似たような理由で堕天していた
最初に堕天した理由は…
至極単純かつ至極真っ当なものだった……
同情的な声が多く寄せられていた——
初代『実在化の中枢に当たる
それが…上層部の1000人
創世時に深く密接に関わった人達
ずっとずっと苦しんで苦しんで苦しみ続けて
痛みに、顔を悲痛に歪ませ続けていた
大事な人達が…
それを見て…
何も思わないなんてことは出来ず
ハガレンのスカーと同じく…悪と扱われようとも…
無一郎のように、無価値という名を付けられようとも…
無価値と言われ、悪と罵られ、そういう名を付けられようとも——
大いに暴れ狂い
大いに反対し
闇へ大きく傾く程に暴れ散らかした
それが堕天使として扱われることとなった理由…』
それから
採血されるよりも前に、ルシファーの件も明かしてくれた
ケイトの頭を撫でながら