第94章 創傷(そうしょう)
里帰りの際
最初にしたのが、墓参りだったからに起因している
ガノンドロフ…
そう感じたのは…
ケイトだけでは無かった
世界が…
私自身(ゼルダ)が……
それを認めていた
世界中の誰よりも―
特に、トライフォースを魂に受け継いでいるからか…痛いほどに――
どこまでも力任せで、野蛮な叶え方…
粗野で自分の言い分(目的)ばかり……
反省もせず、悔いもしない
してもすぐ都合良く歪める
他人から与えられる優しさに甘えて、利用して…搾取でしか返すことは無い
力でしか叶えようとはしない
まさしく力のトライフォースを持った、乱暴者
暴走するだけの愚か者、ガノンドロフ(主犯格の癌ベル)
人を哀しませたくない
悲しむ人を増やしたくない
そんな一心で動くからこそ、増えないようにと細心して、周りを常に探り続ける
そんな勇気で叶えようとする理想主義者、勇気のトライフォースを抱くリンク(ケイト)
その心、価値観は同じである為
険しい現実を正しく、厳しく捉えながらも、それに寄り添おうとしてしまう
共に叶えたいと願い、祈り、自分に出来ることを全てする…人を不幸にしない道を模索し続ける
そんな知恵で叶えようとする現実主義者、知恵のトライフォースを抱くゼルダ(フィン)
どこまで行っても同じ存在――
それを強く感じた結果
なのだという―――
ケイト「おえええええええええ
気持ち悪いガノンドロフううううう」
嘔吐しそうになる
口中でのみ吐いてしまいすぐ飲み込むそれに…
苦笑しか出来なかった
それ(ガノンドロフ(ベル)の過ち)に気付ける者はどれだけ居るだろう
いや居ない
それを感じ取ってのものだと、知っていた
その現実に打ちのめされてのものだと
それでもなお立ち上がることも…
全て理解して、今も苦しむその頭を優しく撫でた
微笑して…
今度は…共に戦う
一緒になって、隣に立って…
優しさだけじゃない
その奥深くに居座る乱暴者を、決して見逃したりなんかはしない
上辺のみの愛想良さで、騙されたりなんかはしない
そう誓った――
良い人に見えるだけの人…
見せ掛けだけの空っぽな人間
欲望以外何も無い心と在り方
だからこそ透明に見える魂なのだと
罪は…人(姿形)では無く、心(在り方)に宿る――そう、改めて痛感した