第93章 深淵(しんえん)
そんなこんなで……
こちらの世界では…
8月18日の夜中となり
それからまた寝て起きると…
8月20日となっていた
お互い疲れ切っていたのもあってか
ダウン気味となっていた
ケイトに至っては、悪阻(つわり)で益々グロッキーに…;
死屍累々という言葉がそのまま当てはまるほどに衰弱してきていた
なんでも……他の世界全てにおいても、癌一同は全て消せたのだが――
生き残ったほとんどが半黒(はんぐろ)、癌になり掛けらしい
主犯格の癌が好ましい、いい人だ…そう考え、好いて助けた者のみに限定しているらしい(沢田綱吉、ベル・クラネル)
逆に悪印象を持ち、嫌悪し、忌避している者であれば
一人残らず大丈夫だったらしい…
魂が無意識の内に、殺されない為に、殺されて消された当時が繰り返されることを察知した為に、働いた防衛本能というものらしい(主に吐き気や嫌悪感)
それに伴い…ケイトの魂にヒビが入り、断末魔を上げて倒れ伏し…そのまま動かなくなった…
胎盤はケイトの魂を削り、覆う形で一番外側にある
それが中身の流出を食い止めてはいるのだが…
そのヒビ割れの修復までとは行かず、補修程度に留まっており、魂が消える寸前なのだとか
逆に胎盤となっている魂の膜が
外に出れない中身により、中にある魂を押し潰されかけている
人間の病気で例えると、肺血腫に近いらしい
肺から出た血の出口が無い為、肺を圧迫し押し潰してしまい、息を出来なくしてしまうという病気だ
もし仮に出口を作ってしまえばどうなるか…
水風船で例えてみよう
切れ込みを入れ、削る動作、刺激を加える
するとヒビ割れから水が出、押さえが何も無いことで流出し、中身が空っぽになってしまう
中身が空っぽになることは、魂の死を指す
補修は愚か、修理にも時間を要する
しかし休む時間も無い
心臓が休んでしまえば、世界も魂も何もかも消えてしまう
出来ることは…四方の陣を組み結界を張り痛みを和らげる程度←5261〜5263ページ参照
代われるものなら代わりたい
だが……出来ない
本質が、『どんな存在であれ、消えて欲しくない、死んで欲しくない』でなければ…
胎盤となっている創世神の膜の防衛機構が働き、押し潰され殺されてしまう
創世神では無いから…死ぬ者、消える者が、必ず出てしまうから