第92章 新たな神武(しんぶ)
肩を抱いて、微笑み掛けたそれに…
涙を流したまま
微笑むことも無く…
ただ、咽び泣いていた
力無く、されるがまま……ぼろぼろと
そんな余裕は無いのが見て取れた
(李)小狼の姿のまま――重々しく放たれた本音に、涙を流し…安心させようと満面の笑みを浮かべて返す、(木之本)桜だった―――
これは…そちらの世界に行った折、紛れ込んだ際に起きた出来事だ……
原初の始祖神という役割の重さ、痛さ
その全てを伝えた――
涙と共に…
やるせない哀しみや憤りの果てに行き着く先を――支えを必要とする理由を…根幹を記した
化身化して、一番の救いとなったのは…もう……
対価を必要としないこと
もう二度と、命を、自我を、記憶を…喪いたくない一番を、喪わずに済むこと――そのことへの安堵だった
それを知った際に得た心は、想いは…それだけだった
ありがとう――その言葉と共に、眠りについた…小狼の中に眠る初代は、2代目の魂は…安堵したように……報われたと言わんがばかりに
愛してる――そう、言葉を残して…その面持ちに微笑みを湛えて
桜「私もだよ^^」
ぽろぽろと涙を零しながら
眠りにつく小狼の肩に手を添えたまま、その頬に唇を落とした
この世の裏側、世界の真実を知ったそれらに…その反応に、らしいなと感じ、微笑んだ
そちらの世界の現状(決して消えないこと、消える世界が無いこと)、安全面(守られていること)から…安堵して……
そんなことがあったのは…
化身化して戦い合うより、ほんの少し前の出来事であった
色々と詰め込み過ぎな気もするが…置いておこう
割愛していたことを謝罪する
済まない
だが…それほどに重い内容だったことは伝えておきたい
テロップ『そして現在――』時間軸を戻す
ケイト「……神域って言っても大変なんだねえ」
フィン「全てが綺麗に纏まっているね」
アスフィ「火はわかりますが…
何故、ここまで目立つ事態に?」訝し気
「それは…浄化に必要な分を優先して伝搬しているからだと思われます
宇宙全体、のみならず世界全体にまでとなると…やはり火が顕著になるのは避けられないことかと」
『なるほど』
ケイト「ふむふむ…
そっか、癌化を避けるには避けられないもんね火は
その実在化を支えるのが水か」